九十九島の読み方は?長崎と秋田の違いや島が99個ではない真相に迫る
旅番組やニュース、あるいは土産物の銘菓などで目にする機会の多い「九十九島」。ふと口にしようとした際、「くじゅうくしま」と読むべきか、それとも「つくもじま」と読むべきか、迷ってしまった経験を持つ人は少なくありません。実はこの呼び名、指している地域によって公式な読み方がはっきりと分かれています。
さらに「九十九」と名乗っていながら、実際の島の数は99個ではないという驚きの事実が存在します。この記事では、長崎県と秋田県における正しい読み分けのルールや名前に込められた歴史的由来、島数の真相から現地のおすすめスポットまで、詳しく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:長崎・佐世保の九十九島は「くじゅうくしま」、秋田・象潟の九十九島は「つくもじま」と読むのが正式
- 要点2:「九十九」は数字の99ではなく「数え切れないほど多い」ことを意味し、佐世保の島数は実際には208島存在する
- 要点3:西海国立公園の絶景クルーズや水族館、秋田の地震で陸地化した水田風景など、東西で全く異なる唯一無二の景観を楽しめる
【結論】九十九島の読み方は2つ!長崎は「くじゅうくしま」秋田は「つくもじま」
「九十九島」の読み方で迷ったときは、まず話題にしている場所が九州(長崎)か東北(秋田)かを確認するのが鉄則です。日本を代表する2大「九十九島」には、それぞれ明確に異なる呼称が定着しています。
まず、全国的な知名度が高く、観光地として広く知られる長崎県佐世保市から平戸市にかけて広がる多島海は、「九十九島(くじゅうくしま)」と読みます。自治体や観光協会の公式表記はもちろん、現地で運行される交通機関や案内標識もすべて「くじゅうくしま」で統一されています。
一方、東北地方の秋田県にかほ市に位置する名勝地は、「象潟九十九島(きさかたつくもじま)」、あるいは単に「九十九島(つくもじま)」と呼びます。こちらは国の天然記念物にも指定されており、古くから和歌や俳句の世界で親しまれてきた歴史的背景を持ちます。どちらかが間違いというわけではなく、「西のくじゅうくしま、東のつくもじま」と覚えておくと混乱しません。
「九十九島」の名前の由来とは?なぜ「99」という数字が使われたのか
長崎と秋田で読み方は異なるものの、漢字に「九十九」が当てられている理由には共通した日本古来の言語文化があります。結論から言えば、「99個の島があるから」名付けられたわけではありません。
古来、日本語において「百」は満ち足りた数、完全な数を表していました。そこから1つ手前の数字である「九十九」は、「百に1つ満たないほど、数え切れないほどたくさんある」状態を意味する比喩表現として使われてきた経緯があります。「九十九髪(つくもがみ)」や「九十九折(つづらおり)」といった言葉と同様に、数えきれないほどの島々が海や平野に美しく点在する情景を讃えて名付けられました。
佐世保の荒海に浮かぶ複雑なリアス海岸の島々も、かつて象潟の浅海に浮かんでいた無数の小島も、先人たちにとっては「途方もなく数が多い神秘的な景観」の象徴だったのです。
島が99個ではない噂は本当?佐世保の九十九島「公式カウント208島」の真相
名前の由来が「無数にあることの例え」であると分かると、次に気になるのが「実際には何個の島があるのか」という点です。長崎県の佐世保市街地から北へ約25kmの海域に広がる九十九島を調査したところ、驚くべき事実が判明しています。
佐世保市が公式に認定している島の数は、99個を大きく上回る「208島」です。これは全国的にも極めて珍しい密度の高さで、「日本一の島密度」を誇る海域として知られています。
かつては地元でも「200前後あるらしい」と曖昧に語られていましたが、佐世保市が2001年に厳密な定義に基づいた調査を実施しました。「満潮時に水面上に現れていること」「植物が生育していること」などを基準に航空写真や現地確認を重ねた結果、正式に208島が確認されました。なお、208島のうち人が定住している有人島は黒島、高島、前島、鼕泊(とうどまり)島のわずか4島で、残りの204島は手つかずの自然が残る無人島です。
長崎・佐世保の「九十九島」を満喫する!西海国立公園の注目観光スポット
佐世保の九十九島は、昭和30(1955)年に西海国立公園に指定され、2018年には国際的なNGOが認定する「世界で最も美しい湾クラブ」への加盟を果たすなど、世界的にも高い評価を受けています。現地を訪れた際に外せない見どころを紹介します。
海の上から迫力ある多島美を体感するなら、九十九島パールシーリゾートから出航する九十九島遊覧船が欠かせません。白い優雅な船体が特徴の「パールクィーン」や、海賊船をモチーフにした赤い「みらい」に乗り込めば、複雑に入り組んだ島々の間を縫うように進む圧巻のクルージングが楽しめます。
リゾート内にある九十九島水族館海きららも必見の施設です。国内では珍しい屋外型の「九十九島湾大水槽」では、太陽光が降り注ぐなかで泳ぐ約120種1万3000匹もの生き物たちに出会えます。幻想的なクラゲシンフォニードームや、間近で繰り広げられるイルカのプログラムは大人から子どもまで引き込まれます。
旅の締めくくりに手に入れたいのが、地元で長く愛され続ける銘菓「九十九島せんぺい」です。縁起の良い六角形は海に浮かぶ亀の甲羅をかたどっており、散りばめられたピーナッツは九十九島の島影を表現しています。「せんべい」ではなく「せんぺい」と表記するのは、小麦粉と砂糖を使った九州伝統の南蛮菓子に由来するこだわりです。
芭蕉も愛した秋田「象潟九十九島」の魅力|地震で陸地化した奇跡の田園風景
一方、秋田県にかほ市の「象潟九十九島(つくもじま)」には、長崎の海とは全く異なるドラマチックな歴史と景観が息づいています。
江戸時代の元禄2(1689)年、俳聖・松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅路路程で最北の目的地としたのがこの象潟でした。当時、象潟は宮城の松島と並び称される「東の松島、西の象潟」と呼ばれる景勝地で、穏やかな入江に無数の島々が浮かぶ多島海景観を誇っていました。芭蕉はここで「象潟や 雨に西施が ねぶの花」という名句を残しています。
しかし、文化元(1804)年に発生したマグニチュード7クラスの巨大地震(象潟地震)によって地盤が2メートル以上隆起。湾内の海水は完全に干上がり、かつての海底は陸地へと変貌を遂げました。現在では、緑豊かな水田の中に小さな島々(蚨島)が小山のように点在する「乾いた九十九島」という、世界でも類を見ない奇跡的な風景を作り出しています。田植えの時期に水が張られると、まるでかつての海が蘇ったかのような美しい水鏡の絶景を見せてくれます。
【九十九島の読み方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:九十九島を「つくもじま」と読んでも間違いではないですか?
A1:間違いではありません。秋田県にかほ市の「象潟九十九島」は「つくもじま」が正式な呼び方です。ただし、長崎県佐世保市の観光名所や国立公園の海域を指す場合は「くじゅうくしま」と読むのが地域ルールとなっています。文脈に応じて使い分けましょう。
Q2:佐世保の九十九島を展望台から見渡すならどこが一番おすすめですか?
A2:佐世保市内には「九十九島八景」と呼ばれる8カ所の展望台があります。なかでも標高191mから大パノラマを望む「展海峰(てんかいほう)」は、春の菜の花や秋のコスモスとともに雄大な多島美が一望できる名所として圧倒的な支持を集めています。
Q3:秋田の象潟九十九島を見るベストシーズンはいつですか?
A3:おすすめは水田に水が張られる5月上旬から中旬にかけての時期です。隆起して陸地化した島々が水面に映り込み、江戸時代以前に芭蕉が見た「海に浮かぶ九十九島」の面影を幻想的に体感できます。
まとめ:歴史と風景を知れば九十九島の旅がもっと楽しくなる
「九十九島」という地名には、長崎の「くじゅうくしま」と秋田の「つくもじま」という2つの正しい読み方が存在し、それぞれが独自の自然環境と歩んできた歴史を持っています。長崎ではリアス海岸に点在する208もの豊かな自然島を遊覧船から見上げ、秋田では大地の大変動が生み出した水田に浮かぶ島々を見渡す――。同じ漢字でありながら対照的な魅力を持つ2つの景勝地を巡る旅は、日本の豊かな風土の奥深さを存分に楽しませてくれます。 (出典: 九 十 九 島 読み方(Yahoo!ニュース))