知られざる万歳の真実!手のひらの向きと明治の発祥秘話を徹底解説
万歳 と は、私たちが喜ばしい出来事や祝宴の席で自然と口にし、両手を高く突き上げるおなじみの動作である。しかし、この日常的な歓喜の表現が、いつ、どのようにして日本社会に定着したのかを正確に説明できる人は驚くほど少ない。喜びを分かち合う声が響き渡る裏には、国家の節目を彩ったドラマチックな歴史の転換点が隠されている。
結婚式や選挙の開票速報、スポーツの優勝シーンなどで何気なく行われているが、現代人が抱く万歳 と はという概念の根底には、言語学的な工夫と時代の要請が生み出した絶妙なアイデアが存在していた。単なる歓声を超えた「儀礼」としての深遠な世界を、いま改めて紐解いてみたい。
手のひらは前?内側?「お手上げ」と万歳の決定的な違い
万歳三唱をする際、多くの人が無意識に手のひらを正面(前)に向けて差し上げている。だが、実はこれ、作法としては間違いだと言われているのをご存じだろうか。手のひらを前に向ける動作は、戦国時代や降伏の場面で見られる「降参」や「お手上げ」の姿勢に極めて近い。本当の祝意を表す万歳では、手のひらを内側に向かい合わせるのが正しい立ち振る舞いとされる。
肘を真っ直ぐ伸ばし、両手のひらを内側(自分のお互いの手のひらが向き合う形)にして、斜め前上方に真っ直ぐ伸ばす。角度にして約60度。これが最も美しく、かつ相手への敬意と喜びを最大限に表す姿勢だ。手のひらの向きひとつで「祝福」が「降伏」の意味に逆転してしまうのだから、言葉と動作の奥深さには驚かされる。
明治22年の衝撃!大日本帝国憲法発布式典で生まれた歓声
今でこそ誰もが知るこの言葉だが、かつての日本には「万歳」と声を揃えて叫ぶ習慣そのものが存在しなかった。転機となったのは明治22年(1889年)2月11日、大日本帝国憲法発布式典の日のことである。馬車に乗った明治天皇をお迎えするにあたり、帝国大学(現在の東京大学)の学生たちが声を揃えて祝福する歓呼の言葉を模索したのが始まりだった。
当時は外国の「Hurrah(フレー)」に相当する適当な日本語がなく、当初は古代中国の文献にある「万歳(ばんざい)」や「千歳(せんざい)」が候補に挙がった。しかし、「万歳(まんざい)」と発音すると、当事者たちの間ではどこか締まりがないという意見が出たという。そこで最終的に採用されたのが、勢いよく発声できる「バンザイ」という読み方だった。
「万歳」を考案した男・和田垣謙三教授の苦悩と発想
この歴史的な呼称の誕生において、中心的な役割を果たした人物のひとりが、東京帝国大学教授の和田垣謙三である。彼は同僚たちとともに、国家の盛大なお祝いにふさわしい言葉を真剣に議論した。一説には、式典当日に慌てて「万歳!」と声を張り上げたのがそのまま定着したとも伝えられるが、そこには緻密な言語的アプローチがあった。
「万歳(ばんざい)」という響きは、瞬く間に全国へと広がっていった。新聞報道を通じて庶民の知るところとなり、やがて民間のお祝いごとや勝利の瞬間に欠かせない掛け声へと変貌を遂げていく。ひとりの学者の機転とアイデアが、日本人の感情表現そのものを書き換えた瞬間と言えるだろう。
祝福のルーツを探る!伝統芸能「三河万歳」と宮内庁の記録
近代的な歓声としての歴史は明治以降だが、言葉そのもののルーツを遡ると古代の信仰や芸能にたどり着く。愛知県などを中心に今も受け継がれる三河万歳は、正月に家々を訪れて祝福の舞を舞う格式高い伝統芸能だ。ここでは「万歳」は「まんざい」と読まれ、新年の幸福と長寿を祈る神聖な儀礼として親しまれてきた。
また、宮内庁が管理する古文書や雅楽の記録にも、天長地久を祈る祝詞や舞楽の文脈で「万歳」の文字が散見される。つまり、長命を願う「まんざい」という祈りの文化が土台にあったからこそ、明治期に誕生した「ばんざい」という新たな歓声も、人々の心にすんなりと受け入れられたのだろう。
大河ドラマ『いだてん』から読み解くスポーツと万歳文化
時代が下るにつれ、「万歳」はスポーツの応援や国際舞台でも強く意識されるようになった。大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、日本人初のオリンピアンたちが海外の選手たちと交わり、勝利や健闘を称え合う中で「万歳」がどのような意味を持っていたかが生き生きと描かれている。この作品は、現在もNHKオンデマンドで視聴可能だ。
また、数々の歴史ドキュメンタリーでも検証されている通り、昭和から現代に至るまで、万歳は単なる政治的・儀礼的動作にとどまらず、勝利の喜びや一体感を爆発させるスポーツ文化のシンボルとしても機能してきた。スタンド全体が一体となって腕を突き上げる光景は、日本独特の美しい応援風景として世界の目に映っている。
文化庁の視点と現代に受け継がれる「正しい作法」の価値
文化庁の無形文化財保護や各種文化事業の文脈においても、言葉や動作に込められた歴史的背景を正しく理解し、次世代へ継承していくことの重要性が叫ばれている。形骸化しがちなお祝いの作法だが、その由来を知ることで日常の儀礼は一気に味わい深いものへと変わる。
おめでたい席での万歳三唱。もし機会があれば、ぜひ自分の手のひらの向きを意識してみてほしい。内側を向け、凛とした姿勢で「バンザイ!」と唱える。それだけで、明治の先人たちが試行錯誤の末に生み出した、本当の意味での「祝福の気」がその場に満ちるはずだ。 (出典: 万歳 と は(Yahoo!ニュース))